進学のために借りた奨学金は、卒業して社会人になると毎月の返済が始まります。 収入が安定しない時期や、転職・出産・病気などで「今月は払うのが苦しい」と感じることもあるでしょう。 そんなとき大切なのは、黙って滞納しないこと。 奨学金には、毎月の返済額を減らしたり、返済を一時的に止めたりできる救済の制度が用意されています。 日本学生支援機構(JASSO)の制度を中心に、苦しいときの対処法を中立的に整理します。
まず知っておきたい|奨学金も「借金」のひとつ
多くの人が利用する日本学生支援機構の貸与型奨学金には、 利息のない第一種と、利息のつく第二種があります。 金利はカードローン(年15〜18%)などと比べるとかなり低いのが特徴ですが、 それでも返済義務のある「借金」であることに変わりはありません。 だからこそ、返せなくなったときに放置するのが一番よくないのです。
救済①|毎月の返済額を減らす「減額返還」
減額返還は、毎月の返済額を2分の1や3分の1に減らせる制度です。 その分、返済期間は延びますが(総額は基本的に変わらない)、「今の収入では今の金額がきつい」という人が、毎月の負担を軽くして返済を続けられます。 収入が少ない、災害・傷病・経済的な事情があるといった場合に申請できます。
救済②|返済を一時ストップする「返還猶予」
返還期限猶予は、一定期間(1年ごとに申請・通算で上限あり)、返済そのものを先送りできる制度です。 失業中・病気療養中・収入が一定以下といった事情があるときに使えます。 返済が止まっている間も利息や延滞金が増えていくわけではないのが利点で、 立て直すまでの“時間”を確保できます。
救済③|働き方しだいで使える制度も
収入に応じて毎月の返済額が決まる所得連動返還方式(対象者)や、 本人の死亡・重度の障害などやむを得ない場合の返還免除など、 状況に応じた制度もあります。 さらに近年は、自治体や企業が奨学金の返済を肩代わり・補助する制度も増えています。 住んでいる自治体や勤務先に「奨学金返還支援(代理返還)」がないか確認してみる価値があります。
「払えないから放置」が一番危険|延滞のデメリット
一番やってはいけないのが、連絡せずに滞納し続けることです。 延滞すると年3%の延滞金が上乗せされ、督促が来ます。 さらに3か月以上の延滞になると、個人信用情報機関に登録(いわゆるブラックリスト)され、クレジットカードが作れない・住宅ローンや車のローンが組めないといった影響が出ることがあります。 減額返還や返還猶予は、延滞する前に手続きすればこうしたデメリットを避けられます。 「苦しい」と感じた時点で、滞納する前にJASSOへ連絡するのが鉄則です。
苦しいと感じたときの手順
- ① 滞納する前にJASSOへ連絡:奨学金相談センターに電話、またはスカラネット・パーソナルで確認
- ② 自分に合う制度を選ぶ:減らしたいなら「減額返還」、止めたいなら「返還猶予」
- ③ 必要書類をそろえて申請:マイナンバーや収入を証明する書類など(事情により異なる)
- ④ 自治体・勤務先の支援も確認:「奨学金返還支援」があれば負担が大きく軽くなることも
- ⑤ すでに延滞・多重債務なら専門家へ:法テラスなどで相談できる
まとめ|制度を知っていれば、返済は立て直せる
- 奨学金は低金利でも返済義務のある借金。放置が一番よくない
- 毎月の負担を軽くする減額返還、返済を止める返還猶予がある
- 所得連動返還・返還免除、自治体・企業の返還支援も要チェック
- 延滞すると延滞金・信用情報への登録などデメリットが大きい
- 苦しいと感じたら、滞納する前にJASSOへ連絡するのが鉄則
返済で困ったときの相談先
日本学生支援機構(JASSO)の「奨学金相談センター」で、減額返還・返還猶予などの手続きを案内してもらえます。 自分の返済状況は「スカラネット・パーソナル」で確認できます。 すでに延滞している・ほかの借金もあって苦しい場合は、「法テラス(日本司法支援センター)」や消費生活センター(電話「188」)でも相談できます。一人で抱え込まず、早めに動きましょう。