「給与を買い取ります」「今すぐ現金化できます」—— 急にお金が必要になったとき、こうした広告に目が留まることがあるかもしれません。 しかし、「給与ファクタリング」「先払い買取現金化」の中には、 実態が無登録の違法な高金利貸付(ヤミ金融)であるケースがあり、 金融庁・消費者庁が繰り返し注意を呼びかけています。仕組みと注意点を整理しました。
「ファクタリング」とは何か
ファクタリングとは、債権を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービスで、 法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。企業間の資金繰りの手段として使われる本来は正当な仕組みですが、 近年は個人向けの「給与ファクタリング」など、注意を要するスキームが出てきています。
「給与ファクタリング」の危険性
給与ファクタリングとは、個人が勤務先に対して持つ給与(賃金債権)を、業者が手数料を取って買い取り、 先にお金を渡すというものです。 しかし、これを事業として行うことは法律上「貸金業」に該当し、貸金業登録が必要です。
無登録業者を利用すると、生活破綻につながる危険がある
貸金業登録を受けていないヤミ金融業者を利用すると、高額な手数料を取られる・悪質な取り立てを受ける・本来の給与より少ない金額しか受け取れないといった被害につながるおそれがあります。「給与の買い取り」という名目でも、 実質的には違法な高金利貸付であることを理解しておく必要があります。
似た手口①|先払い買取現金化
利用者の手元にない商品(ネット上の画像だけの商品など)を「買い取る」と称して先にお金を渡し、 後日、商品を発送しなかったとして違約金(キャンセル料)名目で高額な金銭を請求する手口です。 商品券を著しく低額で買い取り、あとで利用者に商品券を購入させて送付させる手口も確認されています。
似た手口②|後払い現金化
形式上は「後払いの商品売買」ですが、商品代金の支払いより先に利用者がお金を受け取り、後日代金を支払うという仕組みです。 商品の価値と販売価格が見合っておらず、実質的には「現金を今すぐ受け取ること」が目的になっているケースが多いのが特徴です。
共通するリスク
- 後々の高額な支払いにより、かえって生活が悪化し多重債務に陥る危険性がある
- 取引の際に提供した個人情報が悪用される・ネット上にさらされる危険性がある
- 本来受け取れるはずの金額より大幅に少ない金額しか手元に残らないことが多い
生活資金に困ったときの正しい相談先
「今すぐ現金が必要」という状況ほど、こうした業者に頼りたくなりますが、正規の相談窓口を先に検討することが被害を避ける一番の近道です。
- 多重債務についての相談:金融庁 金融サービス利用者相談室(0570-016811)
- 貸金業のトラブル:日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(0570-051051)
- 生活資金にお困りの場合:お住まいの自治体の自立相談支援機関
- 詐欺の疑いがある場合:警察相談専用電話「#9110」
※なお、年金受給権を担保にした「年金担保融資」は令和4年3月末で公的な制度としての新規受付が終了しており、 それ以降に持ちかけられる年金担保融資は例外なくすべて違法です。
まとめ|「今すぐ現金」の裏にある違法な仕組み
- 「給与ファクタリング」を業として行うことは貸金業に該当し、登録が必要
- 無登録業者の利用は高額手数料・悪質な取り立て・生活破綻につながる危険がある
- 「先払い買取現金化」「後払い現金化」も同様のリスクを抱えている
- 年金担保融資は令和4年3月末以降、例外なくすべて違法
- お金に困ったときは正規の相談窓口を先に頼る
生活資金に困ったら、まず相談を
この手口については、消費者庁・金融庁・警察庁の注意喚起で詳しく紹介されています。 お金のトラブルで困ったときは、最寄りの消費生活センター(局番なし「188」)にも相談できます。